何の為に人事は研修のために金を出す?

ふと、グループディスカッションについて書きたくなりました。

はてなのサービスをまだ利用していなかった頃、

東京で今年度の新入社員用の研修がありました。

技術的な講義ではなくて、

「お前ら、どーよ?」的な研修だという事を担当部署から告げられ、

今年度新入社員は僕を含め、常時リラックスモードでした。

2日間実施されたのですが、

1日目は入社してからの振り返りや仕事への心構え等の講義。

2日目はグループディスカッション中心でした。

1日目は、目的持って仕事しろ、顧客意識しろ、等々の

「今更言う事か?」的な内容の講義でした。

2日目のグループディスカッションは、

あるお題を出され、それに対する答えをグループ内でまとめ、

その答えを出すに至った理由をプレゼンをする、というものでした。

極限状態の10人

研修中の具体的な内容は口外無用との事で、

詳細は書けないのですが、

グループディスカッションの概略は以下のとおりです。

生死が掛かってる極限状態。

その場には老若男女問わず自分を含めて10名。

助かる可能性がある者は、うち五名。

自分はそのうちの一人で、残り4名を選ぶ権利がある。

さて、誰を選ぶ?

・その他条件等

1.一時間以内にグループ内で誰を選ぶか意見をまとめる事。

2.グループメンバ全員(6名)がグループ内でまとめた意見に対して納得する事。妥協はしない事。

3.選ばれなかった人は100%例外なく助からない。

4.現段階で、助かる可能性は50%。

僕はそのグループのリーダーに選出されたのですが、

1時間で意見をまとめる事は不可能だと思いました。

その極限状態にいる10名は、選んだ事によるメリットとデメリットがそれぞれ設定されていたからです。

グループメンバの6名がそれぞれ自分自身の考えを持っていて、

その考えをマッチさせる事は容易くはない、と思いました。

「意見をまとめろ」という命令なので、なんとか意見をまとめようとしましたが、

2名決まったところで議論は平行線。

ある人は女子供優先で外せないとか、

ある人はコイツを選んだら助かった後にヒドイ目に遭うとか、

ある人はコイツは犠牲にすべきだ、とか。

結局、残りの2名が決められず、1時間以内に意見をまとめる事ができませんでした。

そこで、講師の方々が一言。

「私達がディスカッションした結果、5分で意見がまとまりました。」

この一言で、目が覚めたような感覚があったのを

今もはっきり覚えています。

意識の転換

なぜ、このようなグループディスカッションを

わざわざ地方の事業所の人間を呼び寄せて、

出張費払って、場所を確保して実施したのか。

疑問が全て解けました。

答えは、全て1日目の中にありました。

1日目は、目的持って仕事しろ、顧客意識しろ、等々

「今更言う事か?」と思わせるような内容だったんですが、

果たして「今更言う事か?」と言える程、

それが本当にできているのか。

できていないから、

グループディスカッションで意見をまとめられないんじゃないか、と。

この研修は確かにリラックスして良いと言ったが、

研修と言えど、仕事は仕事。

納期・質を守って当然じゃないか、と。

このグループディスカッションでは、

「顧客」はお題を出した「講師」、「目的」は「意見をまとめる事」。

「顧客」である「講師」の要求は、

そのまま「目的」である「意見をまとめる事」になっているのだから、

その「目的」が達成できていない事をしっかり受け止めろ、と。

僕には、講師が暗に、我々にそう伝えているのだと思いました。

10分間の猶予

「残り10分の猶予を与えます。」

「10分間以内にプレゼンできるように意見をまとめなさい。」

このとき、僕は焦ったと同時に、

先ほどの1時間のような議論のままだと何年経っても

意見がまとまらないと思いました。

なので、助かる可能性がある人を選ぶ「基準」を設ける事にしました。

先ほどの1時間の議論は、個人がそれぞれの「基準」から判断した意見を

ただただアウトプットしているだけでした。

それぞれの「基準」から出た意見が最終的に合わない事がわかったので、

その「基準」を考え直し、

「自分がその場にいたら、この人たちを選ぶけど

この基準から判断したら、その人たちだよね」

というグループ共通の意見を出す事ができました。

結果、10分の猶予時間中にグループの意見をまとめる事ができ、

プレゼンする事ができました。

他のグループはまとめる事ができず、

プレゼン後の質問時間中にあるグループのリーダーから鬼のように質問されました。

「本当にメンバ全員がその意見で納得したのか」

「本当に選んだ人物に対してメンバが妥協していないのか」

「基準を選ぶときに妥協したのではないか」

それに対する僕の答えはこうでした。

「例えば1000(イチマルマルマル)という数字がありますが、

これは十進数で数えると千です。けれども、2進数で数えると8です。4進数だと、16です。

私たちのグループはただ、今回はこの基数で数えましょう、と定めただけです。

個人個人が違う基数で数えてたら、数字が合うわけがないので、

残り10分間で、その基数を個人個人の意見の中間に設定しただけです。

今回、時間が少なかったので、その基数の設定に多少なりとも妥協はあったかもしれませんし、

出た答えが、基数から求められる正しい解では無いかもしれませんが、

出た答えに対しては妥協はありませんし、有り得ません。」

グループディスカッション後の休憩中も、

研修が終わってからの飲み会でも、

そのリーダーと議論しました。

仕事なんてのは、しょせんヒマつぶしだ by三田紀房氏

実は。

女子供優先で外せないとか、

コイツを選んだら助かった後にヒドイ目に遭うとかいう意見を出して、

グループの意見をまとめるという目標の達成に対して足を引っ張っていたのは

何を隠そう、この僕なのです。

確かに、自分がその場にいたら、

真っ先に女子供を助けるだろうし、嫌なヤツはシカトします。

でも、あの生死が懸かっている極限の状態というのはあくまで仮の話であるし、

「グループ内でまとめた意見が100%人間として正しい判断である」

という定義付けをしているわけでもないですし、

その場にいたら自分がどんな言動取るか、実際にいなければ分からないし、

大体ただの研修です。

ただの研修(=仕事)だからこそ、自分の倫理観やマイナス的な感情よりもまず、

「顧客」や「目的」を意識すべき事が大事なんじゃないかなぁと思います。

※もちろん例外もあります。

「顧客」や「目的」よりも「社会」を意識する事は大前提にしたいです。

まぁこの辺も人それぞれですが、少なくとも僕が今の会社で仕事しているときは、

「顧客」・「目的」を意識する事をベースにしていきたい、と自分の中で勝手に納得しています。

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